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『毎アル』シリーズがついに完結!
関口監督が最後のテーマに選んだのは、
人生の最終章に待ち受ける「死」

死ぬことを忘れた母にも、
母を介護している私にも、最期の時はやってくる。
もちろん、あなたと、あなたの家族にも。

認知症の母との自宅介護生活が5年目に突入した2014年、関口監督は両股関節の痛みが悪 化し、入院・手術を受けることになりました。時を同じくして、母・ひろこさんが脳の虚 血症発作を4回起こし、意識不明で緊急搬送。幸い大事には至りませんでしたが、ひろこ さんは何も覚えていない様子です。

自身も母も共に老い、「ケアの終わり」と「母の死」について考え始めた関口監督でしたが 、ある出会いをきっかけに大きな転機を迎えます。それは入院中に意気投合し、関口監督が「 病棟の母」と慕っていた山田トシ子さんとの出会いでした。山田さんは、退院後、自宅療養中 に脳梗塞を起こし、緩和ケア病院に入院しました。彼女を見舞うため、初めて緩和ケア病院を 訪れた関口監督。そして、山田さんはご家族が見守る中、「眠りながら」息を引き取ります。

山田さんの最期に触れ、関口監督は自分自身の「死」を強く意識するように…。 「死は母だけでなく、自分にもいつか必ずやってくる。」 「母は、私は、どうやって死んでいきたいのか?」 死のオプション(選択肢)を求めて、関口監督の新しい旅が始まります。

関口祐加 監督(せきぐち・ゆか)/映画監督

「私の疑問は、実は緩和ケアについてでした。ターミナル・セデーションのことを知っ たのは、大きな収穫でしたね。」

日本の大学卒業後、オーストラリアに渡り29年間を過ごす。2010年1月、認知症の症状が現れ始めた母の介護をしようと 決意し、帰国。母との日々の様子を映像に収め、YouTubeに投稿を始めたところ、100万再生を記録。大きな注目を集め る。2012年「毎日がアルツハイマー」、2014年「毎日がアルツハイマー2 関口監督、イギリスヘ行く編」を発表。「毎アル2」 完成後、両股関節の痛みが悪化し、2度にわたって入院・手術を行う。

関口ひろこさん(せきぐち・ひろこ)/関口監督の母

「最期は、あ〜ばあちゃん、死んでるよ!っていうように逝きたいねえ。」

2010年5月にアルツハイマー型認知症と診断される。認知症発症後、以前とは見違えるように<喜怒哀楽>がハッキリとし、明るく、あけすけな性格をさらけ出す。2年半の閉じこもり生活を経て、2012年夏よりデイ・サービスの利用を始める。現在は週に1度、デイ・サービスに通う。

山田トシ子さん(やまだ・としこ)/関口監督の“病棟の”母

「キラキラ光るお花畑の中に両親がいて私を迎えに来たのよ。母ちゃんが、こっちへおいでって言って。最期の時は、そうなんだって、先生(緩和ケアの主治医)にも言われた。」

関口監督の2度目の入院時に同室となり意気投合。山田さん自身は足に出来た悪性腫瘍の切除手術のために入院していた。退院後、自宅療養中に脳梗塞を起こし、緩和ケア病院に入院。ご家族が見守る中、眠りながら息を引き取った。

マーガレット・マカンスさん/関口監督の友人

「膀胱ガンのような大きな手術後は、手術前のように回復はしないということを知ったわ。前のように運動できないという事実を受け入れないといけないのよ。」

関口監督がダイエットに挑戦する自分自身の姿を描いた「THEダイエット!」にパーソナル・トレーナーとして出演。運動をライフワークとする健康的な生活を送っていたが、膀胱内に悪性腫瘍が見つかる。「余命18ヶ月」と言われ、手術を決意する。

中矢暁美さん(なかや・あけみ)/宅老所「あんき」経営者

「家族が、満足できる看取りが<満族死>ですが、一番肝心なのは、死んでいくお年寄りですよ。」

どんなお年寄りも、当たり前に自分らしく、普通の生活を続けられる場所。そして自分もここなら入りたい、ここなら死ねるという場所を目指し、1997年3月に愛媛県で初となる宅老所「あんき」をたった一人で立ち上げる。現在では、訪問サービスやグループホームも運営している。

ヒューゴ・デ・ウァール博士/精神科医、「ハマートンコート」施設長

「僕は、緩和ケアで逝きたいと思っている。しかし、病状にはこれ以上苦しむことができないものもあるから、安楽死ができるという選択肢は、否定しない。」

オランダ生まれ。アムステルダムの医学部を卒業後、イギリスに渡り、精神医学を学び続ける。英国ロイヤル・カレッジ精神科医、高等教育アカデミーのフェローであり、2011年からは、世界精神科協会の教育部門のメンバーになっている。2017年11月には、イギリ全国の認知症分野を対象にした生涯功労賞のファイナリストにノミネートされた。

エリカ・プライチェク博士/「自死幇助」クリニック院長

「自死幇助は、新しい死に方の文化ですね。自分の命に最期まで向き合い、責任を持つ。でも緩和ケアで逝くことも全く問題ありません。要は、患者さん自身が決めるということが重要なのです。」

スイスの小さな村の在宅医として働く。緩和ケアにより自宅で最期を迎える患者さんを多く診てきた。しかし、2006年に実父が自死幇助を希望し、実践したことをきっかけに、自死幇助団体の顧問医師となる。現在は自身が代表を務める自死幇助団体「ライフサークル」を運営している。

2017 年 5 月、私は 60 歳になりました。還暦を迎え、正式に初老の門を開けて入った気持ちです。「毎日がアルツハイマー ザ・ファイナル」でもご出演頂いているヒューゴ・デ・ウァール博士は「60歳になると老いていく自分の年齢を考え始めるだけではなく、老いそのものも体験し始める。」と仰っていますが、まさにその通りです。

今作では、歩行不能に陥った私の両股関節全置換の手術シーンが出てきます。2010年、29 年間過ごしたオーストラリアから日本に帰国し、認知症の母の介護をしてきた私の最大のピンチでした。つくづく介護の問題の一つは、介護側も同時進行で老いていき、身体に不具合が出てきたりするということで、まさに私が向き合わなければならなかった厳しい現実だったのです。

実は、前作「毎日がアルツハイマー2」で私が認知症ケアにおいて唯一無二であると考えるようになった<パーソン・センタード・ケア>と出合ってからは、次作への動機を少し見失っていました。そんな時の我が身の不幸。しかし、実は、映画にとっては、ありがたい幸運でした。私の長期入院こそが、この映画の方向性のみならず、テーマ自体も決めてくれたからです。

今回「ザ・ファイナル」とつけたのは、人生のフィナーレの意味にもなり、最期の死に方を考えるという深く踏み込んだ内容になったからです。緩和ケアに始まり、<安楽死>や<自死幇助>も含めて考察しています。まさしくこのシリーズが行き着いた終着点です。

えっ?深刻すぎる?

どうぞご安心ください。ユーモアもたっぷり。映画監督として一番やりたかったユーモアと悲劇が絶妙にミックスされた作品になっていると思います。たくさんの方々に観て頂けることを心から願っています。

撮影:堂本ひまり

関口祐加

日本で大学卒業後、オーストラリアに渡り、29年間を過ごす。2010年1月、認知症の症状が現れ始めた母の介護をしようと決意し、帰国。2009年より母との日々の様子を映像に収め、YouTubeに投稿を始める。2012年、それらをまとめたものを長編動画「毎日がアルツハイマー」として発表。抱腹絶倒の介護の日々が驚きと共感を持って迎えられ、大きな反響を呼ぶ。2014年、続編となる「毎日がアルツハイマー2 関口監督、イギリスヘ行く編」を公開。現在に至るまで「毎アル」シリーズは日本全国で上映会が開催され、日本中の介護当事者に元気と笑顔を届け続けている。2018年、シリーズ最終章となる「毎日がアルツハイマー ザ・ファイナル」をついに完成。同年7月より、劇場公開予定。

オーストラリアで天職である映画監督となり、1989年「戦場の女たち」で監督デビュー。ニューギニア戦線を女性の視点から描いたこの作品は、世界中の映画祭で上映され、数々の賞を受賞した。メルボルン国際映画祭では、グランプリを受賞。

その後、アン・リー監督(グリーン・ディスティニー、ブロークバック・マウンテン他)にコメディのセンスを絶賛され、コメディを意識したドキュメンタリー作品を目指すようになる。

主な作品

1989年 「戦場の女たち」
(55分/企画・監督・編集・共同プロデューサー)
1992年 「When Mrs. Hegarty Comes To Japan」
(59分/オーストラリア作品/日本未公開/企画・監督・プロデューサー)
2007年 「THEダイエット!」
(英題:Fat Chance/52分/オーストラリア作品/日本公開2009年/企画・脚本・監督・共同プロデューサー)
2012年 「毎日がアルツハイマー」
(93分/企画・脚本・監督・共同プロデューサー)
2014年 「毎日がアルツハイマー2 関口監督、イギリスへ行く編」
(51分/企画・脚本・監督・共同プロデューサー)

主な著作

1990年 「戦場の女たち」 製作ノート(リトル・モア出版)
2009年 「夢を壊さないでっ!ゆかのTHEダイエット!」(パド・ウィメンズ・オフィス出版)
2012年 「毎日がアルツハイマー」(パド・ウィメンズ・オフィス出版)
2013年 「ボケたっていいじゃない」(飛鳥新社 出版)
2015年 「毎アルツイート・マミー」(パド・ウィメンズ・オフィス出版)

どう生きていくのか。父が他界した時、病院で亡くなったが、様々な希望がかなわなかった。 死に向けての生き方を考え、準備しておくことの必要性を改めて感じた。

昨年5月に祖父がしりもちをついたことをきっかけに、寝たきりとなり、認知症の症状が少しずつ現れ始めました。それまですごく元気だっただけに、家庭内は大パニックになりました。初めての介護で余裕もなく、祖父の言動に苛立つ母の様子を目の当たりにし、 これが「老老介護」なのかと危機感を覚えました。命の終焉について少し意識し始めたタイミングで映画を鑑賞し、「命」とはその人自身のものである、ということを改めて認識できました。

もし私の両親が...そんな想定が少しずつリアルに感じられる30代だからこそ、いろいろな選択肢を知る必要があるのだと思いました。 少しずつ老いていく父や母と、もっと話がしたくなりました。

働いていたグループホームで看取りを行うことになりました。入居者の方が死に向かっていくことに対して、支援の仕方や死ぬことへの恐怖など、職員からいろいろな意見が出て、その度に会議をしたことが思い出されました。介護の現場や死についてなど、地域の人や職場の人に伝えたいときに、この映画を観てもらえればわかってもらえると思いました。

精神科病棟で作業療法士をしています。生活・人生に医療が入り込みすぎることは必ずしも幸せにつながらない、と改めて感じました。あくまで主役は「ご本人」ということを忘れずに関わっていきたいと思います。

病院の介護職として勤務しています。寝たきりの方が多くて、ご自身で「どういう死に方をしたいのか」を考えることもできない、選択肢が限られている方ばかりだと思いました。「終活」というのは元気なうちからやっておいたほうが、ご本人だけでなく、遺される家族にとってもいいのかなと思いました。

医療職に従事していますが、ある患者さんに対し、延命を希望しないという書類を残しているにも関わらず、輸血を行ったという例があ り、このような問題において本人の意思が尊重される国や法律になればいいと思いました。私もそのような状況になったら、自分のことは自分で決めたいし、親にも意思を確認しておきたいと思います。

訪問看護の仕事をしています。日本では「死」というものを具体的に語るのがタブーであるように感じている方が多く、誰もがいつかは死ぬことを理解しているのに、死ぬという時、どのような体の変化があるのか、どのような選択が自分自身でできるのかを知ってい る人がほとんどいません。今回の映画をきっかけに、自分自身の死に方を考えられる日本になるといいなと感じました。

企画・製作・監督:関口祐加
撮影:森谷博 編集:デニース・ハスレム
音楽:ガイ・グロス 追加撮影:エリカ・アディス、関口祐加 編集・プロダクション助手: 藤井遼介
イラスト:三田玲子 宣伝デザイン:宮坂淳 医学監修:新井平伊 協賛:第一三共株式会社 後援:公益社団法人 日本老年精神医学会
製作:NY GALS FILMS 製作協力:リガード 配給・宣伝:「毎アル」友の会 リガード