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トップに戻る 作品について P.C.Cとは コメント 予告編動画

母・ひろこさんの認知症はセカンドステージへ。

娘・関口監督は最先端の認知症ケアを学ぶため、
イギリスへ。

人生の最終章をハッピーに過ごすヒントが
たくさん詰まった「毎アル 2」堂々完成。

「毎日がアルツハイマー」の公開からまもなく2年。「毎アル」な母・ひろこさんの閉じこもり生活に少しずつ変化が現れます。デイ・サービスに通えるようになり、あんなに嫌がっていた洗髪をし、娘(=関口監督)と一緒に外出もする。その姿は、なんとも幸せそうで “いい感じ” です。 しかし、調子が悪い日は、感情の起伏が激しく、突然怒りがこみ上げたり、相変わらず一日中ベッドの上ということも。

そんな母との生活の中で、「パーソン・センタード・ケア(P.C.C.=認知症の本人を尊重するケア)」という言葉に出合った関口監督は、自ら、認知症介護最先端のイギリスへ飛びます。 認知症の人を中心に考え、その人柄、人生、心理状態を探り、一人ひとりに適切なケアを導き出す「P.C.C.」が教えてくれる認知症ケアにとって本当に大切なこととはーーー。

パーソン・センタード・ケアとは、認知症の人を一人の “人” として尊重し、その人の視点や立場に立って理解し、ケアを行おうとする認知症ケアの考え方です。イギリスの心理学者トム・キットウッド教授(故人)が提唱し、英国では、NSF(National Service Framework for elder people 2001:高齢者サービスを行う際の国家基準 2001 年版)に取り入れられています

キットウッド教授は、認知症をもつ人々の行動や状態は、認知症の原因となる疾患のみに影響されているのではなく、その他の要因との相互作用であると考えました。重要とされる 5 つのアプローチは次の通りです。

①脳の認知障害(アルツハイマー病、脳血管障害など)

②健康状態、感覚機能(既往歴、現在の体調、視力・聴力など)

③個人史(成育歴、職歴、趣味など)

④性格(性格傾向・対処スタイルなど)

⑤社会心理学(周囲の人の認識、環境など人間関係のパターン)


パーソン・センタード・ケアでは、認知症ケアの目的は清潔や安全であることだけでなく、たとえ 「認知症」という病名が同じであっても、一人ひとり認知機能や健康の状態、性格、人生歴、周囲の 人間関係などが異なり、その人の個別性をふまえ、その人らしさを尊重することが必要であると唱 えており、パーソンフッド(その人らしさ、一人の人間として、周囲に受け入れられ、尊重される こと)を高めることを核としています。

この作品が素晴らしいのは、お母さんの認知症を受け入れているだけではなく、ユーモアたっぷりに対応している様子が描かれていることで す。認知症になっても「パーソン・センタード・ケア」を取り入れた介護をすれば、日常生活が可能である事を見事に証明しています。
認知症という病気だけが同じで、一人ひとりはそれぞれ違うことや、個人史や性格をしっかりと見ることの大切さが、作品の中では紹介されています。
この作品の持つユーモアと謙虚さは、多くの人の心を掴むことでしょう。認知症の人とそのご家族、認知症介護に関わる人、認知症に興味を持っているすべての人に広く見て欲しいと思います。

ヒューゴ・デ・ウァール博士(精神科医/認知症ケア・アカデミー施設長)

ひとがひとを愛し、大事にするということはどういうことなのか……。
本作品が、そのすべてを教えてくれる。
わたし自身が介護の真ん中にいた時に観たかった!それだけが少々無念だ。
介護中のひとに、これから始まるであろうひとに、そしてすでに終わったひとにも!

落合恵子(作家)

あ~あ、目から水を出しながら笑いました~。
まるで、どんな料理にも深い味わいを与える出汁みたいな映画です。たくさんのお友達にお薦めください。
認知症は予測不可能。あるかたが言いました「ワンダー(未知)がフル(いっぱい)だからワンダフル(すばらしい)」。
認知症を悪夢としか伝えないメディアに、関口ひろこママ風に、こう言いたい「うるせえ!」。

くさか里樹(漫画家/「ヘルプマン!」(講談社イブニング))

この映画を観て、激しい衝撃を受けた。深い内省を迫られた。関口監督の今についての眼差は鋭く暖かい。さすがイギリスは社会福祉発祥の国である。
パーソン・センタード・ケア、これは、わが国の、正に今、苦闘しているケアワ-カーや、専門職たちのはたらきを大展開するための羅針盤である。
いや、家族など人に関わる者すべてに送る、新しい時代のメッセージである。
老いて衰えることは、人の無常として避けがたい。関わる家族も苦役である。
運が悪かったではすまされない。人との関係にユーモアがなければ辛すぎる。 すべての人がこれからたどり着く過程なのだから。
高齢者のためのケアも、子どもたちのケアも同じようにその存在が、センター=中心でなければならないはずである。そんな人たちの不幸をメシのたね にしているのだから。
この映画はソーシャルワーカーすべての、新らたな指標となるだろう。

菅原哲男(社会福祉法人「光の子どもの家」理事長/映画『隣る人』 出演)

お母さんとのやりとりには何度も何度も笑わせられました。
そして、涙がこぼれました。
監督がイギリスで打ち明けた「子が親を介護すること」の不安……
その不安こそ、わたしが「息子介護」問題に向き合うことになるきっかけだったから。

平山 亮(東京都健康長寿医療センター研究所・日本学術振興会特別研究員/
『迫りくる「息子介護」の時代』著者)

この映画の登場人物たちのひとりひとりが、自分のためだけではなく、他者とともに生きる術を自然に心得ている。
それが、この映画を観るものに、不思議な安心感を与えてくれる。
人はひとりでは生きられない。ひとりで生きてはいけないと教えてくれる。

平川克美(作家・立教大学特任教授・喫茶店隣町珈琲マスター/『俺に似たひと』著者)

お母さんが新井先生の診察のなかで「すごく幸せ」と答えられていることが素晴らしい。
「忘れるのが幸せ」ともお母さんは娘に言っています。この2つの名セリフは、いかに生活が充実しているか、張り合いがあるかを証明する言葉です。
それはまた、娘(監督)の介護姿勢が本人の自尊心や心情を尊重したものであったことの証しでもあります。
引きこもりだったお母さんが変わる大きなきっかけは(イケメン介護士の導きによる)デイサービスです。活動性と社会性(対人交流)を得られる新た な世界を見つけらました。アルツハイマーの人がどんどん失っていく自己肯定感と役割を再び獲得してもらうために、早いタイミングでデイサービスの ような活動に参加してもらうことは、一番大事な「治療」なのです。

上田 諭(精神科医・日本医科大学精神神経科講師/『治さなくてよい認知症』著者)

関口監督はイギリスにわたり、パーソン・センタード・ケア(PCC)を学んでくる。
でも、私は、カメラを通してお母さんと向き合っている監督は、既にPCCを実践しているように思える。
認知症の方に真の意味で寄り添うケアとは何か、率直に語り合いたい。
この映画はソーシャルワーカーすべての、新らたな指標となるだろう。

六車由実(民俗学者・デイサービス「すまいるほーむ」管理者/『驚きの介護民俗学』著者)

主人公のひろこさんはアルツハイマー型認知症。
僕は統合失調症。程度の差こそあれ、知っているようで深くはわからない。
僕もひろこさんに負けないように、統合失調症のことを皆さんにお伝えしていきたいと改めて思いました。

ハウス加賀谷(お笑い芸人/松本ハウス)

病気を背負ってしまうのではなく、だっこするようにありのままを受け止め包み込む。
相手の顔を見て、病人として扱うのではなく、個人として尊重する。
『毎アル』には、病と向き合い共存するための大切なヒントが詰まっています。もちろん、愛情と一緒に。
関口監督とひろこさん、お二人はとっても素敵なコンビですね!

松本キック(お笑い芸人/松本ハウス)

あいかわらず関口さんは、うまい!
シリアスな問題を、暗く、重くならず、軽妙に描く“関口調”は、健在だ。
キャラクターがいい。お母さんの、ドキュメンタリーの主人公としての、観客を引きつける、力強さ、魅力、パワー、それらが存分に発揮 されてて飽きない。
加えて、関口さん自身が登場しての、お母さんとの絶妙な駆け引きのオモシロサ。

原一男(映画監督)

長編動画|51分|HDV|2014年|日本|ⓒ 2014 NY GALS FILMS
製作:NY GALS FILMS  製作協力・配給:シグロ  企画・製作・監督・撮影・編集:関口祐加
プロデューサー:山上徹二郎  ライン・プロデューサー:渡辺栄二  AD・撮影・編集助手:武井俊輔
整音:小川武  編集協力:大重裕二  撮影協力:関口先人  医学監修:新井平伊/協賛:第一三共株式会社