ひろこさんは認知症。娘のカメラを通した日々の暮らしは、
愛おしくてチャーミング
でも…ちょっと「お〜っと」な親子関係が
紡がれていきます。関口祐加監督が自らカメラを回し、
二年半に亘って記録してきたアルツハイマーの母との暮らしの
動画です。
せきぐち家の『毎アル』な日々をお楽しみ下さい。
21世紀の日本は、人口の22%が、65歳以上という超高齢社会に突入しました。介護の問題は、もはや他人事ではありません。そして、介護の中でも依然、垣根が高く、あまりオープンにされないのが、認知症の介護。認知症の患者数は年々増え続け、このままいけば2030年には330万人を突破するだろうと言われています。
2010年、アルツハイマー病であると診断された母と過ごす毎日を、2年半にわたり撮影した動画がYouTubeに登場!介護に悩む人や医者、医療従事者など多くの人々の共感を呼び、累計の視聴数はなんと30万View!!
100時間以上にわたり撮影した記録を、母の<喜怒哀楽>を通して描いた関口祐加監督の最新劇場版・長編動画『毎日がアルツハイマー』が完成しました。
『毎アル』な母と家族の暮らしは、笑って、怒って、泣いて、そしてまた笑う、まるでコメディのような世界です。
アルツハイマーの世界を通して、家族のあり方、更には、人間の尊厳とは何かを問う、渾身の『長編動画』がここに誕生しました!
母は、2009年以来、認知症が進行する中、記憶力の低下が著しくなり、
2012年5月現在、判断力、理解力も徐々に失われつつある。
そんな母だが、認知症発症後、以前とは見違えるように<喜怒哀楽>がハッキリとし、明るく、あけすけな性格に豹変した。母は、嬉しい時も、怒る時も、悲しい時、そして、楽しい時も真剣で、本気である。母の脳には感情がしっかりと残り、今までよりずっと感性が鋭くなった。
「毎日がアルツハイマー」の構成は、2009年からのエピソードを時系列に配置し、2011年3月11の東日本大震災を折り返し点に、母の<喜怒哀楽>を通して、母のアルツハイマーの世界を描く。
2009年9月22日、母は79歳になった。母は、大好きなモンブランのケーキにたてられたローソク3本の火を一気に消し、ご機嫌だ。
しかし数日後、誕生日を祝ってもらったことをすっかり忘れ♪ ボケた〜 ボケた〜 ボケた〜♪と自ら明るく歌う母であった。
遂に、色々なことから解放された母。中でも<世間体>から解放されたことが、一番の喜びのように見える。母は、本能のママ、自分の好きなように1日を過ごす。今は昼夜逆転、まるで反抗期のティーンエージャーのような生活パターンだ。そのことを指摘すると、母は何も言わず、ニヤリとするのである!
母は、憤怒のかたまり、と言ってもいい。ゴミ出しをきちんとしない人から政治家に至るまで、そしてカメラを構える私にも、母は憤る。認知症になっても、母は正義感が強く、しょっちゅう憤る。実際のところ、この母の憤怒の根源を探る事が、母の人となりを理解することになるのではないか。
母の哀しみは、母の<閉じこもり>という形に出ている。何でも出来て能力の高かった母が、ここ1〜2年で色々なことが出来なくなってしまった。お金を下ろせなくなり、買い物が出来なくなった。多分、このことを一番辛く思っているのは、母本人だろう。2010年8月頃、「だらしないのに、頭が狂っている。」という母のノートを見つけた・・・その後母は、要介護3の認定を受ける。
母は、孫たちと過ごしている時間が一番楽しそうだ。私の息子と妹の末っ子は、同い年の12歳。母は、この2人にはとても反応がいい。母にとって、孫2人は守るべき存在だからか、と殊勝に考えていた私の目の前で、母は12歳の姪っ子と頭の叩き合いをして「あ〜人を殴るって、気持ちいいなあ。」と叫ぶのだった!
母と暮らし始めて2回目の春が、巡り、夏が、通り過ぎ、秋になり、冬を迎えた。桜は、未曾有の国難の中、いつものように咲き乱れ、夏のミンミン蝉が、鳴き止むと、つるべ落としのように日が暮れ始めるようになった。迎えた今年の冬は、寒さが厳しく、母は、益々引きこもっている。母は、このまま家から出ないのだろうか・・・いや、諦めないぞ!そんな母を何とか外に連れ出そうと私は、アレコレと画策する。そう、「毎日がアルツハイマー」は、現在進行形長編動画なのである!
ドキュメンタリーの最高傑作です。
この映画は、日常の場面で認知症の人や家族が出くわす様々な出来事を、ユーモアいっぱいに描いています。
この映画を観るだけで、教科書を何冊読んでも分からない認知症の世界が分かります。
ぜひ、医師をはじめ、介護の方や家族の方にも観てほしいと思います。
遠藤英俊(国立長寿医療研究センター・内科総合診療部長)
素晴らしい作品で、ドキュメンタリーの良さが最高でした。
特に、他の認知症に関するTVドラマや映画が、認知症で失われていく機能を強調しているのに対して、本作品は残っている脳機能を強調して認知症を考えさせているところが出色です。
新井平伊(順天堂大学精神医学教室 教授)
関口さんは、映画作りが、“上手い”ですねえ。最高級の褒め言葉を贈ります。
日本の作り手は、まじめに作っているのはいいとして、もうちょっとエンタテイメントを意識して作って欲しい、と日頃から思っているので、その点、関口さんは、さすが、と思いました。
お母さんのキャラクターが、とってもチャーミングです。
ところで、これ、続きがあるんでしょうねえ?
原一男(映画監督 『ゆきゆきて、神軍』『全身小説家『極私的エロス』他)
KAWASAKIしんゆり映画祭2012は、今年で第18回を数える程に成長~今年のテーマは「映画よ どこへ」
デジタル化の波に立ち向かう映画が並んでいました。特別ゲスト役所広司ほか、昨年の3.11と原発被害のドキュメントなど。
その中でも関口監督の“毎日がアルツハイマー”は成長の果ての老化が大問題で、満員の観客も笑ったり泣いたりでした。
前作「THEダイエット!」にもまさる全力投球です。
まだ見ていない皆さん、とにかく劇場で見て下さい。
千葉茂樹(日本映画学校 校長)
緩急つけた絶妙な編集の上手さに加え、笑わせ、泣かせ、考えさせる。
カメラワークも悪くない!関口作品の中で最高傑作作品であることは、間違いない。
祐加、おめでとう!
エリカ・アディス(オーストラリア国立映画・演劇・テレビ・ラジオ学校撮影科主任講師)
アルツハイマーという難しいテーマをお母さんを通して見事に見せきった素晴らしい映画だと思います。
突っ込み字幕、アニメーションと、あなたの創造力がフル回転!93分が、あっという間でした。
何よりも被写体のお母さんが、素晴らしい。祐加、心よりおめでとう!
アマンダ・キング / ファビオ・カヴァディニ
(元シドニー映画学校ドキュメンタリー映画学科長)
「毎日がアルツハイマー」 企画・製作・監督・撮影・編集:関口祐加
プロデューサー:山上徹二郎 / ライン・プロデューサー:渡辺栄二 / アソシエイト・プロデューサー:栗尾知幸 北岡賢剛 大和田廣樹
エグゼクティブ・プロデューサー:渋谷昶子 / 共同編集:大重裕二 整音:小川武 / AD・編集助手・撮影協力:武井俊輔 / イラスト:三田玲子
宣伝デザイン:宮坂淳 / 製作:NY GALS FILMS / 製作協力・配給:シグロ / 宣伝:ブラウニー
特別協力:シネマテーク動画教室 バリアフリー映画研究会 / 協賛:第一三共株式会社
長編動画/1時間33分/HDV/2012年 © 2012 NY GALS FILMS
推薦:厚生労働省 後援:一般社団法人 日本老年精神医学会